竹林の見える家   ー母の家ー
東外観. 外壁は杉板黒染色. 大きな窓は左右がまん中に集まり2/3が開口する木製窓
ダイニング見上げ. 正面 にひろがる竹林 縁側から外へとつながる てっぺんにある天窓から光がおちる
リビングから東を見る. 外にひろがる竹林の借景 障子は上半分が見える雪見障子とは逆の仕掛け.  家具:shimoo design 
ロフト.または屋根裏部屋. どこか懐かしさを感じる空間   裁縫をしたり本を読んだり趣味室として利用 照明:たこあつこ/陶 

所在:富山県射水市東太閤山

用途:専用住宅

主体構造:木造

敷地面積: 226.95 m2

建築面積: 82.63 m2

延床面積: 123.94 m2

家族構成: 1人

竣工年月日:2008年10月

竹林に大きく開いた窓 軒の出は半間 外周をまわる 樋はなく 足下の砂利で雨をうける
座敷. 床はうるしで仕上げた特別 なもの. 中田塗装の仕事

玄関からつづく廊下

この空間の空気は全周りをまわり

内部の環境をまもるバッファーゾーン 

障子は上半分が見たいので雪見障子とは逆の仕掛け. そうすれば人の視線がきられ竹だけがみえる

敷地は、広大な竹薮の一部を宅地造成することで生まれた

画一化された約500世帯の、新興住宅地のはずれにある。

幸いにも建築は、残った竹林に面 しており、その光景を借景として

目の前にひろがる竹林に、大きくひらいた住宅とした。

また、この住宅は定年をむかえた女性が単身で住むためのもので

木造平家でインテリアも素朴な木の空間とした。

「シンプルな生活をしたい」という建主の希望から

程よい大きさと、必要最低限の機能をもった住空間を目指した。

ここではイメージとして、設計者が以前、京都で見たある古建築を参照した。

東福寺塔頭の一つ、龍吟庵(室町時代初期に建てられた現存最古の方丈)

いくつかの室が集まった周りを、縁側が囲む、初源的な形で

平安の寝殿造りの名残りを残す、その原形的な住居のつくりに強くひかれた。

そこで、この建築では八畳の間を4つ、田の字にならべ

そのまわりを半間の場、縁側や廊下(または床や収納)が取巻くつくりにした。

竹林に対しては、縁側によりひらき、玄関からは廊下が奥までのびるなど

まわりを囲む半間の場は、毎日の生活のなかでの重要な要素となる。

一方、半間の場は、建物中心の八畳間を4つ集めた住いの核心部

「コアエリア」を守る「バッファーゾーン」緩衝地帯 となり

外の環境(気温差、騒音、目線など)が直接コアエリアに及ばないようにした。

小さなお堂のようなこの建築は、入れ子の構成により人にやさしい建築であり

何よりも 目の前にひろがる竹林に恩恵を受け続ける、慎ましい住いである。

 

 

 

 

第42回 中部建築賞2010

第41回 富山県建築賞2010 

第49回富山県デザイン展 奨励賞

ロフトから見下げる

外の環境から守られた場所

コアエリア 

竹林に大きく開いた窓

軒の出は半間 外周をまわる

樋はなく 足下の砂利で雨をうける